飯田建材工業 2/2

千葉県のサンドバレーに忽然と姿を現す鋼鉄の巨大廃墟。手前に写る黄色い花の高さが丁度大人の目線の高さと言えば、その大きさが少しはわかるだろうか。

飯田建材がオリジナルで開発したという巨大砂選機。浮かび上がった錆が有機的な印象を与え、左右の鉄骨アームを振りながら今にも動き出しそうな錯覚を覚える。

砂選機の真下に立って上を見上げると、まるで巨大な昆虫の腹の下に潜り込んだようにも思える。斜めに渡された鉄パイプが支点を軸に上下し、それに合わせて胴の蛇腹が伸び縮みしたら、さぞ恐いだろう。

砂選機の下には不要に長いコンクリの構造物が設置されている。ここに巨大ダンプカーが列をつくり、砂選機から投下される砂を満載してはそれぞれの目的地へ旅立っていった。

コンクリトンネルの中には幾つかのドラム缶が放置されているだけだったが、両端が抜けているので秋の気持ちいい風が渡っていた。現在ではこのコンクリトンネルだけが、だだっ広い敷地に残っているだけになってしまった。

砂選機の隣にある浄化用沈殿槽。

敷地の奥に建つ制御室からの構内全景。巨大な砂選機に無理なく山砂を投入するための必要から生まれた長距離コンベア。

映画『バグダッド・カフェ』にも通じる給水タンクは、アメリカ西部の鉱山跡などを連想させる光景だった。

制御室のコンソール。廃止されてからそれほど時間がたっていないせいか、室内は思いの外綺麗だった。

地面にしっかり固定された巨大クレーン。奥に写る電柱やブランコと比べると、その大きさがわかるだろう。

裏山の高台に放置されたクレーン。二度とモノをつり上げることのないワイヤーは、地面から這い上がるツタでしっかり固定されていた。

撮影は10月だったので、辺り一面に背高粟立草(秋の麒麟草)が群生していた。それにしてもこの植物ほど廃墟に似合うというか、廃墟と対でいることの多い花も他にないだろう。

この撮影の時はロケハン目的で、後日オープロジェクトでの撮影を予定したが、それが実現する前に解体されてしまい、結局これが最初で最後の撮影になってしまった。

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