島内でも、その白さと大きさでひときわ目立つ小中学校の校舎。
木机からパイプ机への移行期に時間が止まった校舎内には、無数の子供達の記憶が今も残っている。
70号棟 端島小中学校
昭和33年 (1958) 築。RC6階+鉄骨1階建
木造2階建校舎 (昭和9年築) の昭和30年代初頭の火災焼失により再建されたが、
竣工直後、隣接する病院の火災が延焼したため、内外装を再工事した。
70号棟 端島小中学校外観北東面窓
1,2,3階には小学校教室と職員室や技術室が、4,5階には中学校の教室、
6階には講堂兼用の体育館及び図書室と音楽教室、そして昭和36年 (1961) に増設された7階には、
理科室、被服室、料理教室があった。
70号棟 端島小中学校
閉山後17年経った平成3年 (1991) の台風で堤防が数カ所決壊し、
その時の土砂の流出によって出来た小中学校下の空洞。
いくつかの基礎は既に折れていて、今後の建物の存続が危ぶまれる。
70号棟 端島小中学校
玄関脇のモザイク作品。
島の向きから考えて、おそらく島の南西の三ツ瀬からの端島の眺めだろう。
ムンクの『叫び』のような背景の空が泣かせる。
70号棟 端島小中学校
島内の他の建物はお互いに隣接しているため、眺望は決してよくないが、
この小中学校の校舎は島のはずれにあり、独立して建てられているため、
対岸の野母半島が一望できる、かなりのオーシャンビューだった。
70号棟 端島小中学校
整然と並べられた勉強机と椅子。
黒板は剥落しているものの、生徒たちの息づかいが今にも聞こえてきそうだ。
またこの建物には島内唯一のエレベーター(給食用)があった。
70号棟 端島小中学校
廊下の天井に作られた点灯式天体図の作品跡。
右下の白いボードには無数のスイッチが並び、それぞれのスイッチに星座の名称が
付けられている。おそらくスイッチを入れると、その星座が点灯したのだろう。
70号棟 端島小中学校
3階の職員室の一角には放送室があった。コントロール卓は錆び付きながらも原型をとどめ、真空管も残っていた。
70号棟 端島小中学校
島の模型のショーケース。
破損は激しいものの、かなり精巧に作られた島のレプリカ模型。
天体図や島の模型といたる所に生徒達の作品が残されている。
70号棟 端島小中学校
増設された7階には専門科の教室があった。
理科室に残る薬品瓶の並びはおそらく閉山後の訪島者の手によるものと思われるが、
7階の専門科教室には、当時を忍ばせる物が沢山残されている。
外観北東側正面
外観北東面窓
基礎
1階玄関
4階教室
7階教室
3階廊下
3階放送室
5階教室
7階理科室